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VOC汚染地下水のオゾン/UV分解・曝気併用処理プロセス開発について
 

当社は、このたびVOC(揮発性有機化合物)(※1)汚染地下水の浄化処理プロセスである、オゾン/UV分解・曝気(※2)併用処理プロセスを開発し、低コストでの汚染地下水処理を可能といたしました。

 当社は、鉱山経営や製錬事業等で培ってまいりました環境保全技術をもとに、住友建設株式会社、株式会社京葉興業および当社関係会社である住鉱コンサルタント株式会社と共に1993年にスミコン セルテック株式会社を設立し、主として汚染土壌・地下水の調査、修復に関する設計、施工管理を行っております。
 従来、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のVOCに汚染された地下水の浄化については、VOCを曝気によりガス中に移動させ、活性炭に吸着させる処理法が一般的でした。この方法によると、汚染水のVOC濃度が高い場合には、大きな反応装置が必要となり、さらに頻繁に活性炭を取り替える必要が生じるなど、設備やメンテナンス面でコスト高になるという問題がありました。また、曝気によりガス中に移ったVOCを分解する試みも行われていますが、分解副生成物が多く、新たな有害化合物を生成させる危険性があるとの問題があります。

 これらの問題を解決するため、当社技術本部中央研究所(千葉県市川市)では、従来プロセスの改良を進めてまいりましたが、このたびコストパフォーマンスに優れたオゾン/UV分解・曝気の併用処理プロセスを開発いたしました。
 このプロセスは、副生成物の発生が極めて少ないオゾン/UV(紫外線)促進酸化法(※3)を水溶液に適用し、VOCを50〜90%分解する小型のオゾン/UV装置を曝気装置の前処理として設置することにより、曝気負荷が軽減され、大きな反応装置が不要となり、また活性炭の取替え頻度が減るため、浄化装置の低コスト化を実現し、メンテナンス費用を削減することが可能となりました。
 また、浄化作業時のVOC汚染地下水の汚染濃度は、初期に濃度が高く、時間が経過するとともに低濃度となりますが、1mg/l程度のVOC低濃度になった段階では、曝気装置を運転する必要がなく、オゾン/UV促進酸化処理のみで対応できるため、曝気運転コストも削減でき、騒音も軽減できる利点もあります。
 昨年12月より、テトラクロロエチレン汚染地下水浄化サイトにおいて、実用規模の装置を用い約4ヶ月の無停止連続処理実証運転を行なったところ、所定のVOC分解率が維持でき、処理水pHも排水基準に収まっており、メンテナンスも不要であることが実証できました。

 スミコン セルテック株式会社ではこのプロセスを、VAAP(VOCs Advanced Oxidation and Aeration Process)と命名し、VOC汚染地下水処理プロセスとして販売を開始することとし、より低コストでの汚染地下水処理サービスを提供してまいります。

 

※1)VOC(揮発性有機化合物)
常温で揮発しやすい化合物のことで、VOCとはVolatile Organic Compoundsの略。トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン、ホルムアルデヒド、トルエン、ベンゼン、キシレンなどさまざまな物質がある。油脂類の溶解能力が高く、分解しにくく安定していて燃えにくい性質から、1970年代には理想の洗浄剤として産業界で普及したが、吸入による頭痛やめまい、腎傷害などの有害性や発ガン性など可能性が指摘されている。大気・水域、特に地下水汚染の原因となる。また、住宅の室内空気汚染物質としても注目されている。

※2)曝気
VOC汚染地下水中のVOCは揮発性で、水に難溶性である。この性質を利用して、VOC汚染地下水を多量の空気に曝し、VOCを水から大気中へと移動させる方法。曝気処理方式には、充填塔式・段塔式・空気吹き込み式等がある。

※3)促進酸化法(AOP: Advanced Oxidation Process)
オゾンと紫外線(UV)あるいは過酸化水素を組み合わせることにより、オゾン単独よりも酸化力の強いOHラジカルを生成させる複合酸化プロセス。強力な酸化力により、他の酸化法では分解や生物化学的処理が難しいダイオキシン類等の難分解性有機化合物も炭酸ガスまで完全分解が可能である。

 

(本件に関するお問合わせ先)
 技術本部 技師長 鈴木孝雄
TEL:03−3436−7991
FAX:03−3436―7746
E-mail:Takao_Suzuki@ni.smm.co.jp

以上

 

 

1.開発のVAAPプロセスと従来法曝気プロセス比較図


 

 

2.実証試験装置仕様

 

 

3.実証試験装置外観写真




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